元料理人であるオーナーシェフの山本進一郎さんが目指すのは、パンと料理、お菓子、様々なシーンに「寄り添う」パン。「&PAN」という店名にも「お客さまの一人ひとりの日常に寄り添い、楽しさや盛り上がりを増す存在でありたい」という願いが込められています。

料理経験から生まれた「新しいパンの組み合わせ」
山本シェフは大阪府で長年、日本料理や病院の治療食づくりに携わってきました。専門学校の講師や商品開発の経験もあり、その料理人としてのキャリアから、「パンをベースに料理を組み合わせたら、他にない面白い店になるのでは」という着想を得ました。
開業前には、東京都調布市の人気パン屋「パンdeアノー」で修行を積みました。そこでの学びをもとに、これまで培ってきた料理の経験を活かして「意外な組み合わせ」による発見と体験をお客さまに届けたいと考えているそうです。
パサつかない!しっとり食感を生む秘密
&PANでつくるパンの最大の魅力は、そのしっとり、ふんわりとした食感です。山本シェフは、一般的なレシピよりも水分を多めに加える「高加水」の製法を取り入れ、常温で2〜3日置いてもパサパサしにくいパンを目指して作っています。
この理想の食感を実現するために、一般のパン屋ではあまり見られない「スチームコンベクションオーブン」を使っています。この機械は、蒸し器とオーブンが一体化したようなもので、細かく設定できる蒸気を利用することで、ふわっとした焼き方が可能になりました。
また、主力の生地にはイーストフードや膨張剤を使わず、素材の味を大切にしています。地域のご高齢の方や子どもたちでも食べやすいよう、見た目はハード系でも噛み切りやすいパンを取り揃えるそうです。ロゴにもなっている山食パンを看板商品にし、ラインナップも徐々に増やすとのことでした。

「体験」を提供する場所へ
山本シェフは、単なる販売店ではなく、お客様とのやり取りを通じて、新しいメニューを一緒に考えたり、「家にあるものとパンを合わせてみる」といった、食の新しい組み合わせ体験を地域の人々に提供していきたいと考えています。
ぜひ一度、このしっとりとして、選ぶ楽しみが詰まったパンを味わいに足を運んでみてください。
(取材・ライティング:ats0703/編集:田中可奈子)